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こうしたなかで、数だけを追う薄利多売の時代ではなくなったという声が出てくるようになった。
数で稼ぐ小型車は原則的に現地生産とし、輸出車には一台あたりの粗利益額が大きく、付加価値が高いラグジュアリーカーを開発して利益を重視すべきだという声が台頭してきた。 しかし米国のラグアカーはメルセデス・ベンツ、BMW、ジャガー1980年代の初めごろまでの日本車は、国内向けに生産された右ハンドルの自動車ボディを輸出用に左ハンドルに変えただけのクルマが多かった。
海外市場向けのクルマをつくるとなると、すっかりつくり替えなければならないので、カネがかかり過ぎるという理由からだった。 当時国内では、車幅が1700ミリを超えると大型車扱いとなって税率があがるため、どんなに大型化しても車幅を1700ミリ未満に抑えて5ナンバーに留める工夫をしたクルマが多かった。
「マークⅡ」の輸出車である「クレシーダ」も横幅は1695ミリだった。 このカベにこだわる限り、クルマの中央にふくらみを持たせることは不可能で、デザイナーが頑張ってみたところで流線型のスタイルにはならず、中央部分が直線の箱型になってしまう。
だから不格好になるのである。 「クレシーダ」をモデルチェンジするには、思い切って1700百ミリにこだわらないクルマをつくる必要があった。
技術担当専務の松本清も新しい高級車の必要を感じていた一人だった。 82年に欧州に出張した折、メルセデス・ベンツやBMW、シトロエン、アウディなどを乗り継いでドイツのアウトバーンなどを走った松本は、この時ドイツ製のクルマはハンドリングが容易で、アウトバーンでの高速性能が優れていることを体験した。

それまでのT社の開発陣には、日本の高速道路の時速100キロの制限速度をこなすだけで十分という空気が強く、スポーツカーのスープラでさえ、時速210キロを超えると車体が浮く状況だった。 ドイツ車が軽く時速200キロを超えるスピードが出るのと比較して明らかに劣っていた。
「欧州で通用するクルマをつくろう」・松本は、この時の経験から世界的な評価を得るクルマの開発に意欲を燃やしていた。 だから大型高級車の開発提案にはすぐに応じた。
しかしなによりも最大の理解者はT田E二だった。 「カローラ」を始め、高度成長期のT社の戦略車の開発の陣頭指揮をとり、T社の米国進出の決断をするなど、T社のグローバル戦略の基礎を築いたT田E二は、米国において次にT社がとるべき戦略に策をめぐらしていた。


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